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世界へと舞台を広げたサイエンスキャッスルから、中高生研究者たちが描く強靱で持続可能なまちづくり構想

【開催報告】世界大会へと進化した「サイエンスキャッスル ワールド 2025」で見えた、多角的なレジリエンスの形

2025年12月13日・14日、中高生研究者の登竜門であるサイエンスキャッスルは、大きな転換点を迎えました。これまで国内の各支部で開催されてきた形式を統合し、世界中から若き研究者が一堂に会する「サイエンスキャッスル ワールド 2025」として開催されたのです。

大会ウエブサイト:https://castle.lne.st/schedule/science-castle-world-2025/

会場となった東京科学大学(Science Tokyo)には、日本全国から、そしてマレーシア、シンガポール、フィリピン、インドネシア、ベトナムといった東南アジア諸国から、200件を超える演題が集結しました。

特筆すべきは、大会が「世界(WORLD)」になったことで、共通の課題に対する「国や地域ごとの異なるアプローチ」が可視化されました。

例えば「環境保全」一つとっても、日本の都市部での生態系維持の知見と、東南アジアの沿岸部でのマングローブ再生技術が同じ場で議論されました。互いの現場の知恵を交換し合うことで、これまで知らなかった他国の課題を知ることができ、新たなアイデアが生まれていました。

ここでは、私たちの暮らしを支える「まちづくり・環境・防災」に関わる16の演題を抽出しました。これらは、中高生たちが自分たちの足で現場を歩き、地道にデータを積み上げてきた、彼らの好奇心にもとづく研究群です。

■ 1. 都市環境・自然共生型まちづくり

都市における自然との共生を、単なる理想論ではなく「都市生態系の維持」という実戦的な視点で捉えた研究です。

  • 下草の支える都市環境(C-206 / 日本 / 荒井啓太)

  • 人口減少社会における持続可能な湿地の生態系回復手法(B-072 / 日本 / 木村楓)

  • 小規模ビオトープ制作における生物多様性の保全(C-106 / 日本 / 毛利静流)

■ 2. 防災・レジリエンス(災害に強いまちづくり)

多発する自然災害に対し、IT技術や自然の力をどう活用するか。フィリピンと日本の双方から、地域の特性に応じた具体的な「守り」の提案がなされました。

  • LINOG: 地震強度データのローカル・ナショナル予測システム(C-024 / Philippines)

  • “色の力”で命を救う 新しい洪水ハザードマップの開発(C-225 / 日本 / 高梨詩楠)

  • MangroveMatch: マングローブ再生地のGIS判定ツール(C-040 / Philippines)

■ 3. 水環境・地域資源の保全(住みやすい地域の基盤づくり)

長年の定点観測に基づいた研究は、その地域の「変化の歴史」を物語ります。これらは地域基盤を維持するための重要なエビデンスとなります。

  • 生活排水に注目した多摩川中流域の水質環境と魚類相(B-021 / 日本 / 粕谷惟眞)

  • 駿府城公園の水の色と植物プランクトン数の関係(C-210 / 日本 / 下村珊瑚)

  • 平潟湾周辺海域の魚種の動向〜20年間の変遷〜(B-025 / 日本 / 五月女陽斗)

■ 4. 環境技術・循環型まちづくり

「廃棄物」という概念を書き換え、都市の「資材」へと循環させる試みです。物性評価を伴う実証的なアプローチが、サステナブルな建築への道筋を示しています。

  • プラスチックごみを利用したコンクリートの開発(B-065 / 日本 / 飯野日陽)

  • 食品廃棄物・農業副産物の断熱性能と建材活用の検証(B-070 / 日本 / 上野将汰)

  • 自然素材を用いた壁材の断熱・遮音性能の評価(B-069 / 日本 / 渡邊正悟)

  • FROM WASTE TO WALLS:ペットボトル×吸い殻タイル(C-007 / Philippines)

■ 5. 都市・地域のエネルギー

都市特有の制限を克服し、エネルギーの地産地消を目指す挑戦です。

  • 都市部で活きる、回らない音のない風力発電(B-077 / 日本 / 一岡かりん)

  • 環境状況を生かした風力発電機(C-228 / 日本 / 向井琥太郎)

■ 6. 都市安全・インフラ

安全でクリーンな都市環境を維持するための、基盤技術の研究です。

  • 消波ブロックの消波効果を保ちつつ人の侵入を防止する対策(C-230 / 日本 / 佐々木真瑞)

  • AeroLog:PMモニタリング技術(大気質管理)(C-030 / Philippines)


「WORLD」への進化により、中高生たちの視座は「身近な地域の課題解決」から「世界共通の課題への地域的な最適解の提示」へと拡張されました。

本プロジェクトでは、国境を越えて共有されたこれらの知見を、単なる教育的な成果として終わらせません。次世代の研究者たちが導き出した「現場の声」に学び、より強靱でしなやかな社会の実装に向けた歩みを共に進めてまいります。

▶︎ サイエンスキャッスル WORLD 2025 詳細(公式Web)はこちら https://castle.lne.st/schedule/science-castle-world-2025/

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